Interview vol.03 【TAKEHIKO YAGI】

若手写真家の八木豪彦氏が昨年ニューヨークで自身の写真展を経験し、写真家として生きていくために何が必要か、また写真が日本だけではなく世界でどのような役割を果たしていくのだろうか。八木氏が写真家として今後どのように生きていくのかインタビューしてきました。


photo by Takehiko Yagi

-昨年のニューヨークで写真展を行いましたがいかがでしたか?
Yagi
展示が始まるまで僕の写真を見てくれるのか、とても不安だったのですが、多くの方にお越しいただき様々な言葉をかけてくれました。その中でも「写真は1枚の静止画だが、まるで動いてるかのようだ」と感想を頂いた時は嬉しかったですね。


photo by Takehiko Yagi

-展示内容は?
Yagi
今回、日経ナショナル ジオグラフィック写真賞2015のグランプリの副賞として、NYで個展をさせて頂きました。展示内容はインドのHoli(ホーリー)という春を祝う祭りを撮影した写真27点を展示しました。


photo by Takehiko Yagi

-八木さんの代表作でもある、88歳の現役医師、お爺様の写真は展示しなかったのですか?
Yagi
そうですね。ナショナルジオグラフィックの編集部の方と話し合い、NYでの展示はHoliの作品でいきました。
-インドのHoliを初めて撮影したのはいつですか?
Yagi
2013年の3月です。当初は友人と2人で行く計画をしていましたが、都合がつかなくなり、初めての外国1人旅をしました。


photo by Takehiko Yagi

-88歳の現役医師で写真賞を獲得されましたが、賞を意識して撮影したりします?
Yagi
祖父が医者を引退すると聞き、88歳までよく仕事を続けてこられたなあと尊敬しました。当時、祖父は僕の3倍以上の年月を生きており、その歳月からとても重みを感じました。自分が88歳のときは何をしているのだろうか?と考えても想像できませんでした。そして、祖父の最後の勇姿を写真に残さなければならないと強く思い撮影しました。あと将来、家族が出来た時に写真を見せながら「僕のおじいちゃんはこんな人だったんだよ」って話したほうが伝わりやすいじゃないですか。なので、賞に応募するとかは意識していませんでした。


photo by Takehiko Yagi

-写真賞には結構応募するんですか?
Yagi
片っ端から応募します。自分の実力がどれぐらいで、どのレベルなのか、自分は本当に写真の世界で戦っていけるのか。現状を知るためにも応募します。


photo by Takehiko Yagi

-八木さんは、写真家として生きていきたい?
Yagi
自分の作品だけでいくのが理想ですが、現状は甘くありません。縁あって商業写真の撮影もしています。その仕事があるから取材に出ていける。そして、自分の作品を地道に増やしていくのが現実です。日頃から思うことは、どんな状況でもベストな撮影ができるよう準備をすることです。


photo by Takehiko Yagi

-いま作品は撮影してますか?
Yagi
インドHoliは継続してますが、それとは別にも世界に向けて日本の写真を撮りたいと思ってます。どうなるかわかりませんがチャレンジしてます。
-ところで八木さんはデジタルカメラですか?
Yagi
初めて購入したカメラがデジタルでしたので、ほとんどデジタルですね。フィルムの経験をするためにも中判フィルムカメラを中古で購入しました。どちらも試行錯誤しながらですが、作品のスタイルで機材をピックアップしようと思ってます。
写真を20歳の頃から始めた八木氏は、写真の可能性や面白さをもっと早く知りたかったという。写真の見え方や考え方がまた違っていたと思う。だから、これからも多くのことを学び、世界で挑戦したいと思う。研究熱心な八木氏はインタビュー中も、写真だけではなく映像の音やLog収録のことなど細かな質問をしてきた。そこには写真家として生きていきたい強い気持ちが感じられた。日本には写真を買うイメージはないが、世界では写真を買うことが一般的である。そこに写真で戦っていける可能性がまだまだあると感じているのだろう。

TAKEHIKO YAGI